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重篤になりやすい肺炎――その予防のためにも口腔ケアを
平成元年より訪問歯科診療に携わっている広島県呉市阿賀北の歯医者「藤本歯科クリニック」は、これまで全国新聞や健康情報サイトなどに、その活動内容が取り上げられている歯科医院です。こちらのページでは、高齢者の歯科診療で大切な口腔ケアについてお話しします。
要介護高齢者の口腔ケア・摂食嚥下リハビリテーション
高齢化社会が加速している日本は、2040年ごろには65歳以上の高齢者人口がピークを迎え総人口の3分の1を占めるだろうといわれています。今も要介護高齢者もどんどん増加しています。要介護高齢者の全身の健康維持のためにもお口のケアは大切です。
いつ、どこをケアするの?
毎食後の口腔ケアや口腔リハビリは鉄則です。毎食後のケアが難しい場合は、就寝前に必ずケアしましょう。就寝中はお口の自浄作用がある唾液の分泌量が減少するので細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。
お口まわりの病気予防のためには就寝前にお口の中の細菌数を減らし、細菌の養分になる汚れを落とすことが大切なのです。
虫歯や歯周病の原因となる汚れを除去するため、歯の表面、歯と歯の間、歯と歯ぐきの溝を丁寧にみがきましょう。また粘膜や舌も細菌が繁殖しやすい場所ですので、きれいにすることをおすすめします。
入れ歯を装着している方は、入れ歯のバネをかけている歯も念入りにみがきましょう。入れ歯の洗浄も同様に大切です。
いつでも清潔に保ちましょう。
口腔ケアのツール
- 歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス
- 粘膜用ブラシ(舌や粘膜用
- 入れ歯洗浄ブラシと洗浄剤
- 吸引装置つきブラシ(うがいや飲み込みが難しい方用)
誤嚥性肺炎の予防
介護を必要とする人や高齢者の健康状態を悪化させないようにするためには、気道感染を防ぐことが大切です。気道感染とは、気道や呼吸器に起こる感染症で、発熱や咳・痰を起こします。
加齢にともない呼吸が浅くなると、酸素の摂取が不十分になり、抵抗力が低下し、気道感染を起こしやすくなるのです。口腔ケアは気道感染予防につながります。
Pick Up!~誤嚥性肺炎とは~
誤嚥(ごえん)とは、うまく飲み込めず、食物や唾液が気管に入ってしまうこと。お口の中の唾液はさまざまな細菌を含むので、病気などにより抵抗力が低くなっている高齢者は誤嚥により肺や気管支に炎症を起こしてしまいやすくなります。これが誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎の予防のためには、口腔ケアを行い、お口の中の衛生状態を改善することが大切です。
誤嚥はとくに夜間に起こりやすく、「むせ」などの症状が起こらない「不顕性誤嚥」が重篤な事態を引き起こす可能性があります。これをくり返すと誤嚥性肺炎のリスクが高まってしまうのです。
それでは誤嚥性肺炎のリスクを減らすためにはどうしたらいいのでしょうか?
それが口腔ケアです。口腔ケアを実施した人とそうでない人をくらべると、肺炎の発症率が40%ほど減少したという報告もあります。
Q.O.L.の低下を防いだり、不顕性誤嚥を防いだりするためにも口腔ケアが大切なのです。
訪問診療における口腔ケアメニュー
クリーニング | 入れ歯 | ストレッチ | そのほか |
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クリーニング | 入れ歯 |
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ストレッチ | そのほか |
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カンジダ菌の培養
カンジダ菌について
カンジダ菌はお口の中に常在する真菌(カビ)です。
常在菌のため、口腔内に生息していても問題はありませんが、その数が多いと口腔や全身へ影響を及ぼすことがあります。
カンジダ菌の検査について
当院では嚥下内視鏡検査を行っておりますが、
検査により口腔カンジダ症が発見される事が多々あります。カンジダ菌がいると誤嚥性肺炎のリスクが上がります。
しかし、内視鏡検査では少なからず身体への負担があるため、嚥下内視鏡検査が困難な方でもカンジダ簡易検出培地を使って
簡単に口腔内のカンジダ菌の検出ができます。
検査方法
滅菌綿棒で被験者の舌、口腔粘膜、義歯床粘膜面などを2~3回拭い、検体を採取します。
その後培養し菌数見本で判定します。